アドイノベーション株式会社

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広告は嫌われている?世界の広告ブロックの現状と対策

2018.09.25

日本のインターネット広告費は今や1.5兆円ともいわれており、世界では総広告費の38.4%にあたる2,306億ドル(約25.6兆円)がデジタル広告に費やされ、ネット広告費がいよいよテレビ広告費を上回る見通しです。グローバルで非常に大きな市場であり、今後も安定した成長が見込まれています。ところが、近年、様々なレベルで動くソフトウェアによってインターネット広告をウェブページから自動除去する「広告ブロック」を使用する消費者が増えてきています。

ではなぜ、消費者は広告をブロックするのでしょうか?理由は主に三つあります。

  • ①広告を経由したウィルス感染を防ぐため
  • ②通信データ量の削減のため
  • ③健全ではない不適切な広告やユーザーの利便性を損なう広告が増えてきているため

中でも③が理由で広告をブロックすると答えた人が最も多く、消費者は不要な広告の押し付けにうんざりしてしまっていると考えられます。

では、広告を提供する側は、どのようなアプローチを求められるのでしょうか。世界における広告ブロックを取り巻く状況をご紹介しながら紐解いていきたいと思います。

世界での広告ブロック使用状況

欧米におけるアドブロックの使用率は以下の通りです。

また、下記のチャートからもわかるように、パソコンで広告ブロックを使用するユーザー数は、ほぼ横ばいに推移。むしろ若干減少しています。

しかし、モバイルにて広告ブロックをしているユーザー数は少しずつではあるものの確実に増えてきていることがわかります。

2016年末までに世界中の6億1500万台の端末が広告をブロックしていましたが、うち62%は携帯端末に搭載されていました。

もう少し具体的に見てみましょう。

アメリカ

2017年のeMarketerの調査によると、インターネットユーザーの約4分の1以上が広告をブロックしており、そのうち約10人中9人がデスクトップもしくはノートブックパソコン経由でした。これは、アメリカのインターネットユーザーの24%にあたります。さらに、2017年末までには、3分の1がスマートフォン経由でアドブロックを使用すると見込まれています(アメリカのインターネットユーザーの9.5%にあたる)。

イギリス

2017年にUK Association of Online Publishersが参加メンバー40社を調査した統計によると、イギリスのパブリッシャーが広告ブロックによって失った年間の損失額はおよそ500,000ポンド(約7,160万円)までのぼりました。また、同国での広告ブロックアプリ上位5位のダウンロード回数は過去1年で2倍以上に増加しています。具体的には、Google PlayとiOS AppStoreを合わせて約7万回です。

ドイツ

上記の表からもわかるように、ドイツはデスクトップパソコンにおける広告ブロックの利用数が世界で最も多く、パブリッシャー側が広告ブロックソフトウェアの違法性を指摘した訴訟が話題になりました。いずれも広告ブロックソフトウェアは違法でないという判決が下っています。

APAC

2017年PageFairのレポートによると、アジア太平洋地域(APAC)においては、広告ブロックの94%がモバイル端末で使用されています。(これに対し、北米とヨーロッパでは広告ブロックの68%がデスクトップで使用されている。)特にインドでは、スマートフォンでの広告ブロックの使用が急増しており、2016年12月にはスマートフォンユーザーの59%が広告ブロックを使用し、その数は中国を抜いています。

パブリッシャー側の広告ブロック対策

モバイルデバイスにおける広告ブロックの急増というAPACでのトレンドは、今後、ますます北米、ヨーロッパにも拡大することが予想されております。そのような状況の中、パブリッシャー側ではどのような対策を講じているでしょうか。

①ウェブサイトの訪問者が広告ブロックソフトウェアを所有しているか検知する技術があり、これによってパブリッシャー側は、ユーザーへ向けて自社サイトのホワイトリストへの登録や、広告ブロックソフトウェアの削除をお願いするメッセージを送ることができます。このメッセージには、広告がどのように自分たちの収入源になっているかをユーザーに理解してもらい、公平性をアピールする内容が含まれていることもあります。

事例:イギリスの新聞「デイリー・テレグラフ」は、こちらの機能を使い、ユーザーをつなぎとめています。

②広告ブロックウォールは、ユーザーが該当サイトをホワイトリストに登録しない限り、そのサイトのコンテンツへアクセスできないという機能です。広告ブロックを使用しているユーザーは、ポップアップでこれらのウォールから通知を受けるようになっています。この広告ブロックウォールをセットアップすることもパブリッシャーにとっては非常に強い広告ブロック対策です。

事例①:ドイツの大手メディアであるアクセル・シュプリンガーの大衆紙「ビルト」は、広告ブロックウォールを使用した後、2週間で広告ブロック利用率が23%から1桁台まで減少しました。

事例②:アメリカの「フォーブス」もこのような対抗システムを導入しています。

消費者のリアクション

しかし、ほとんどのユーザーがこれらのバリアに直面した際、他のサイトへ移ってしまうという調査結果も出ています。実際にPageFairの発表によると、アメリカの広告ブロック使用ユーザーの74%がウェブサイトで広告ブロックウォールのポップアップが表示された際、ホワイトリストへの登録をせず、そのサイトを離れています。一方で、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスの広告ブロック使用ユーザーの18%は、広告が適切であると考えるサイトをホワイトリストに登録ています。また、広告ブロックウォールによりサイトを離れる人の数は若い世代よりも、年齢層の高いユーザーのほうが多いようです。

まとめ

日本での広告ブロック普及率は、現在、おおよそ3%程度といわれていますが、これらの世界での傾向をみると、日本でも今後、普及率が上がることが予想されます。広告ブロックウォールやメッセージなどの対策はありますが、パブリッシャーにとって最も大切なアプローチは、UXを改善し、クオリティの高い広告を正しくターゲティングしたユーザーへ届けることではないでしょうか。初めに述べた通り、消費者が広告をブロックする最大の理由は不要で不適切な広告にうんざりしているからです。しかし、思い出してみると、子供のころ家にある新聞を読む際、ニュースよりも広告を見るのが楽しかった経験はないでしょうか?テレビの広告が話題になることも多々あったと思います。本来、広告とは楽しいもの。弊社はモバイルアプリ広告が専門ですが、進化した最先端のターゲティング技術と様々なクリエイティブ広告を活用し、クオリティの高い広告を正しいユーザーへ届けてまいります。